まさやのへや。

徒然なる日々を忘れないための備忘録、です。

今日の一冊 昨夜のカレー、明日のパン 


昨夜のカレー、明日のパン



木皿泉 著
2016年文庫化



亡くなった一樹(かずき)の人生に関わった周囲の人間の、

各々の苦悩が各章ごとにつづられている作品。


一樹を失った後もギフと暮らす妻。

妻と息子に旅立たれてしまったギフ。

飛行機の客室乗務員ながら笑えなくなってしまった友人。

正座ができなくなった僧侶の友人。などなど。


共通しているのは、「変化への漠然とした恐怖」

出てくる人物それぞれが苦悩を抱え、もがく。

それでも救いなのは、その苦悩から解放される瞬間があり。

小説の中ではハッピーエンドに終わる安堵感があります。



後書を担当した重松清氏の著書にテイストは似ています。

その後書で重松氏が、とても感慨深い話をしています。

苦悩から解放されることを「発見」と「解放」と表現してますが、

それはイコール「解決」ではないこと。

小説の中に生きる彼らも、そして、いまを生きる我々も。

常識だったり、組織だったりと、またなにかに囚われてしまう。


それでも、その「発見」と「解放」の、ほんのつかの間の、

「それでいいじゃないか」が、たまらなく愛おしい。

…まさにその通りだなぁと、この本を読んでしみじみ感じました。




2014年の本屋大賞でも2位に入るなど方々で評判の当作品。

社会のしがらみに溺れそうなとき。に読んでいただきたいです。


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